前回書いた「相国寺展」へは夫のお友達に誘われて出かけたのですが、実はこの3人で夏に「国立文楽劇場」へ行ってきました。
今年開館40周年だそうです。「国立」の劇場は、他にもいくつかあるらしく、歌舞伎や落語などの演芸や「国立劇場おきなわ」では琉球文化も支援しているようです。「国立」というからにはお仕事をされている方はみな公務員かと思いましたが、イマドキは役所の職員でも非正規・非常勤が当たり前ですので、生活が保障されるほどにお給料があるかどうかまではわかりません。それでも国の政策として日本の文化が守られているというのは素晴らしいことだと思いました。
夏に出かけたときはまだ夏休み期間中でしたので、鑑賞した演目のうち「ひょうたん池の大なまず」「西遊記」は子ども向け企画でした。親子で、あるいはお孫さんと参加されているらしい様子がうかがえました。中には「おばあちゃんに言われて仕方なくついてきた」という子どももあったかもしれません。一般参加の私としては「上演中に騒がなければいいがな」と若干の危惧を抱いていました。
しかし、心配は無用でした。「国立文楽劇場」は常設ですので、普段から通っているというお子さんもいるのかもしれません。
幕間には、子どもを舞台に上げて実際に人形を動かしてみるという時間も設けられました。「やってみたい人」という呼びかけに一斉に「はい」「はい」と手が挙がりました。
文楽の人形は、一体を3人で動かします。右前に来る人は「黒子」ではなく、裃姿で顔を出したまま演じます。この「人形と一緒に出演する」スタイルは、世界中の人形劇の中でも珍しいと説明がありました。この右前のポジションの方がうまく3人をリードして自然な動きを作ります。舞台に上がった子どもたちも悪戦苦闘しながら人形を操っていました。
人形を操るのに3人いますが、舞台の右側には「謡」「楽器」を担当する別の人たちがいます。徹底的に分業します。この「謡」から派生したのが「義太夫」とか「浪曲」とかになるそうです。
「女殺油の地獄」「生写朝顔話」は日本の歴史的な背景を知らないと理解が難しいかと思われましたが、外国人のお客様も大勢いらっしゃいました。
帰りしな、小走りで会場を出ていくひょろっとした青年が藤井聡太さんに激似でしたが、人違いだったかどうか確かめるすべはありません。