2024年04月30日

国語の先生 9 CDプレーヤー

ようやくCDプレーヤーの話です。
英語教室の生徒たちに、いつの頃からかひと家族に1台CDプレーヤーをプレゼントしていました。月謝に見合わない高額のプレゼントでしたので、公正な取引の範囲外になるかと心配していたくらいです。格安品を探して購入していましたが、次第に廉価なものがなくなってきていたので、今後はもうできないサービスです。
その経験から言えるのは、子どもがCDプレーヤーを使うのは案外難しいということです。現代はすでに配信で音楽を聴くことの方がフツーで、CDプレーヤーのないお家の方が多いです。かといって、生徒が自分のタブレットを自在に使いこなせるかといえばそれもまだ難しいです。CDプレーヤーがアナログに分類されるかはわかりませんが、「手で触って操作できる機械」を使いこなせるようになってからでないと、ITデバイスの操作は難しいように思います。
前回書いたように「ナンタモ」で最初のCDプレーヤーを見つけてから、まず生徒の中でプレーヤーを操作できる生徒を募りました。こうした作業にたけている生徒はいるものです。
ですが、じきに音飛びが増えて使い物にならなくなりました。そういうトラブル時には「自分の声」という次の手があります。
「ナンタモ」にあったのはこの1台だけでした。しかし、CDプレーヤーは各クラスに1台あったのでした。「放送室のロッカー」という人気のない場所を探し当て、必要な時にはいつでも使えることがわかりました。
教科書の付属として音声CDがあったのですが、国語の授業ではあまり活用されていないようでした。「大人になれなかった弟たちに」の音声が本文以上に収録されていることは昨年6月に書きましたが、教科書の必修単元以外も全て収録されていました。
授業の導入で使ったのはもちろんですが、その他にも「坊っちゃん」とか「君たちはどういきるか」とか生徒に受けそうで、かつ、非常に長い文章を「CDを聴くだけの時間」を設けて聞かせました。30分以上の時間をじっと聞いている生徒たちの集中具合は、非常に頼もしかったです。(続く)
posted by nora_asuke at 17:28| Comment(0) | #教育

2024年04月29日

国語の先生 8 地球儀

学校で教えるに際して、生徒と同じタブレットが使いたいと希望したところちゃんと用意していただけました。他にも採点用の赤ペンとか学校にあるはずだと思うものはいくつかリクエストしましたが、CDプレーヤーなかなかみつかりません。それが「ナンタモ」という部屋にありました。
「朝のリレー」を読みながら「地球儀があるとわかりやすいんだけど」と教室でつぶやいたのは1時間目でまだクラス担任の先生がいらっしゃって「地球儀ならナンタモにありますよ」と教えてくださいました。「南多目的室」のことです。
各班に一つ、計6個を取ってくるために生徒にボランティアを募りました。行儀よく並んで「ナンタモ」へ向かったところ、そこにCDプレーヤーが一つありました。このプレーヤーは、実は古くて使い物にならないので「ナンタモ」に置かれていたのですがとりあえず音が出るものでした。使い物になるCDプレーヤーは放送室にあったのですが、それはまた後日書きます。
この日は地球儀6個をゲットして、地球の自転の話から始めました。担任の先生がまだ教室にいらしたので少々緊張しましたが、この先生とはその後も「1時間目朝」の時間を共有いたしました。
またまた時間をスキップしますが、夏休みが始まったころに3日間だけ転入してきた生徒がいました。海外に住んでいて、夏休みだけ地元の学校に通っているらしいです。小学校の頃からの習慣というかお家の方針らしくて、小学校時代からの知り合いという生徒もたくさんいました。この子に自己紹介がてらお国自慢をしてもらう、という時間を設けたのですが、日本で生まれ育った生徒もそうでない生徒も全員が我も我もと地球儀を使った自慢話をやりたがりました。地球儀には知らない国もたくさんあったのですが、全員がどこかの国の自慢をするという、予期せぬグローバルな展開になりました。
一つだけ挙げると「香港」を「国」と紹介した生徒がいて、「香港は国ではないよ」と付け加えました。身近にある複雑な国際課題です。(続く)
posted by nora_asuke at 16:56| Comment(0) | #教育

2024年04月26日

国語の先生 7 朝のリレー

なんだか犬のしつけのような授業をしてきたと思われると心外です。実用的な内容であることと同時に、文学的な理解にも心を砕いてきました。ただ、私の思い入れが押し付けになるのは絶対に避けたいとも思っていました。
教科書の最初の課題が「朝のリレー」でした。本文に入る前の「扉」のページです。谷川俊太郎さんの詩です。ご本人が朗読している動画がありました。
残念ながら、授業を始めたときにはこの動画の存在は知りませんでした。音声CDはあったのですが、まだCDプレーヤーがどこにあるかわからなかったので、私の声で朗読するところから始めました。
通して聴いてもらった後、1行ずつリピートしてもらいました。声に出すことで印象が深くなるのが「詩」です。
このブログは、時系列を行ったり来たりしますが、最初の授業で扱ったこの詩を、最後の授業でもう一度取り上げました。生徒たちは記憶していました。
さらに、ありがたいことに谷川俊太郎さんは現役の詩人です。最後の授業の直前に朝日新聞に新作の詩が掲載されていました。最後の授業を私はこの詩のディクテーションで締めくくりました。書き上げた紙は4月になったら新しい国語の先生に見せてね、と言って教室を去ったのでした。(続く)
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posted by nora_asuke at 09:03| Comment(0) | #教育