およそ国語辞典に載っている漢字はほとんど読めるつもりでいましたが、昨夜、全く読めない漢字に出会いました。
私の持っている辞書は、手書き入力ができるので、めったに使わないタッチペンを使って、何度jか試しましたが、正しく表示されません。ついに「にんべん」という手掛かりだけで片っ端から調べたけった「くつま」という言葉であることを突き止めました。(ちなみに、パソコンでは単漢字変換でも出てきませんでした)。
「昭
和文学全集」で「
江分利満氏の優雅な生活」という小説を読んでいた時です。当時の言葉づかいをそのまま再録しているので、大方差別的な用語だろうとは想像していましたが、「背中が曲がって、極端に背の小さい人」だそうです。
この20年ほどで、差別的と目される言葉がめっきり無くなっていますが、「くつま」と言うのは、私の
ボキャブラリーの中にはない言葉でした。
件の小説は、私が高校生の頃「新潮社の文庫100冊」に、「トリスおじさん」の洒脱なイラストとともに掲載されていて、タイトルから推してアッパーミドルの小説だろうと思い、プロレタリアの娘だった私には縁遠い話だと思い込んでいたのですが、戦中戦後を生き抜いた庶民の目で、当時の世相を描いている、なかなか興味深い小説です。その江分利氏が、大学入学にあたって、合格した者の中には「くつま」や
結核患者が多かった、という文脈の中で出てくる言葉です。
当時は、学徒動員と言うこともあり、初めから徴兵されそうにない者を入学させたのだろう、と言うことです。なるほど。そんなこともあったかもしれません。戦争資料だけが史実とは限らないです。
posted by nora_asuke at 12:52|
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