2025年03月26日
CHOI☆HIDARI
2025年03月24日
英語のレッスンを国語の授業に応用して
「英語のレッスンを国語の授業に応用して」
「あいち民研通信208号」より
2023年度(一昨年)、中学校で国語の授業を受け持つことになりました。長年子ども相手に英語を教えてきましたが、「教員免許」としては「国語科」の免許を所有しています。2022年に「教員免許の更新制度」がなくなり、40年ぶりに学校の教壇に戻ることができたのでした。
30年近く前から英語教室をやってきました。ピアノと英語はちょっとハイソサエティな習い事というイメージでとらえられていたと思います。世の中の流れが急速に「グローバル化」に向かう中で、拙速であるという批判を受けながらも小学校英語の必修化がすすめられました。
中学校で国語を受け持つことになって、これまで培った英語の教授方法を国語の授業に応用できないだろうかと考えながら日々の授業に当たってきました。
「国語」と言えば「漢字の書き取り」というくらい定番のプラクティスですが、いわゆる「漢字ドリル」が一通り終わったころ、「古文のディクテーション」に取り組ませました。英語の教授方法の一つ「ディクテーション」は「耳で聞いたままに書き取る」プラクティスです。あらかじめ記憶した内容を書き取ることが目的ではありません。漢字テストをいつも白紙で提出する生徒や、外国ルーツの生徒もいるクラスで「日本語の古文」に取り組ませることを考えて「ひらがな(現代仮名でも旧仮名でもOK)、漢字はこだわらない、カタカナでも何ならローマ字でもいいから「聞こえたとおりに書いてくれ」と生徒には告げました。
教材は教科書に掲載されていた「蓬莱の玉の枝」(「かぐや姫」でおなじみの部分)、1回の分量は300字程度です。「漢字ドリル」をやっていた時間、授業の冒頭に毎時10分間程度で書いてもらいました。「漢字は白紙」という生徒も含め、全員が一生懸命に書いてくれました。時には「のたまひし」を「のたま石」と表記してあったり、思わず微笑んでしまう出来栄えでした。
また、本文中に「〜なむ、〜ける」という「係り結びの法則」による語尾変化を伴う箇所がありました。それが、ディクテーションで書き取ってもらうと3分の2くらいの生徒が「けり」と変化させない形で書いてあります。私が「けり」と発音したのだろうかとも思いましたが、「ける」と正しく書いてある生徒もあり、おそらく「母語」である日本語として「けり」が正しいと脳内変換させたものであろうと考え、古文特有の変化であることを補足説明しました。
この時には「係り結び」という語は用いませんでしたが、定期テストに出題されることになり、私の教えたクラスの出来はかなり良かったです。
その他にも文法の説明には、英語と日本語を並べて説明できる利点を感じました。CDプレーヤーを多用したのも英語のレッスンの応用でした。
1年間を通して、かなり難しめの授業展開をしてしまったと、1年を経た今思いますが、最後にもらった生徒たちからの手紙に「国語の授業が一番好きだった」と書いてあり、教師冥利に尽きると思ったことです。
翻って「なぜ子どもたちに英語を学ばせるのか」というのは、英語教室を始めた当初からの私自身の課題でした。AIが翻訳の精度を上げるにつれ、この疑問はますます重みを増しています。
反語的に聞こえるかもしれませんが、「日本語が好きだから英語も好き」という生徒を育てることが一つの答えになると思った1年間でした。
内容に関係ありませんが、今日もアンケートのURLを貼っておきます。